第39回市民講座にて、海洋放出に対する決議文を採択しました。

39回市民講座決議文

 

 

東京電力福島第一原発からのALPS処理水の海洋放出に
抗議するとともに、ただちに中止するよう強く求めます

 

 東京電力はさる824日、福島第一原発敷地内のタンクに保管しているALPS処理水の海洋放出を開始しました。漁業関係者をはじめ多くの反対を無視して海洋放出を強行したことに抗議するとともに、未来に深い禍根を残す海洋放出をただちにやめるよう要求します。

 2015年、事故炉内で核燃料に直接触れて生じた汚染水を処理した ALPS処理水について、政府と東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束しました。この重い約束を反故にし、海洋放出を強行することは断じて許されません。岸田首相は全漁連会長との会談で「全責任をもって対応する」と説明しましたが、上記の約束も反故にしたのですからこの首相発言を私たちは俄かには信じられないのです。そればかりか、海洋放出される処理水の安全が強調されてはいますが、この処理水に含まれる放射線総量さえ明らかにされていないのですから不信感は募るばかりです。そして、この海洋放出が順調に進んでも30年かかる「大事業」であることを考慮すれば、確実に今後の政府が責任を取るためには、さらなる具体的な施策が必要だと考えます。

 地元の福島県と全国の漁業協同組合連合会は「海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と繰り返し表明しています。原発事故後、地元の水産業者は海産物の汚染状況を調べながら、事業再建と復興を進めてきましたが、沿岸漁業の漁獲量も原発事故前の2割です。ALPS処理水の海洋放出強行は、これまで地元漁業者が積み重ねてきた努力を台無しにするものです。

 地質学の専門家らは代替えの対策として、集水井(しゅうすいせい)と組み合わせ、原発建屋周囲を、地下3550㍍までコンクリートの遮水壁で囲い、地下水の流入を防ぐ「広域遮水壁」建設を提案しています。さらに処理水の処分方法も、「モルタル固化」や、「大型タンクを増設し、放射能の低下や新たな処理技術の開発まで保管継続」を求める提案が出されています。海洋放出をただちにやめ、今一度、これらの代替え案を検討することを強く求めます。

 

2023924

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

39回市民講座参加者一同

宮下宗一郎青森県知事および増田尚宏日本原燃社長に第16回総会決議文を送付しました。

                             2023年8月4日

 

青 森 県 知 事 

宮下 宗一郎 様

                          核燃・だまっちゃおられん津軽の会

                           代        表  宮 永 崇 史          

                                      

第16回総会決議文の送付について

 

私たち「核燃・だまっちゃおられん津軽の会」は、青森県内、とりわけ弘前市を中心に原発と核燃料サイクルをめぐる問題について学び、考え、活動する市民の集まりです。六ヶ所再処理工場の本格稼働の中止、原子力政策の見直し、再生可能エネルギーへの転換を求めて、2008年2月に設立されました。

 私たちは再処理工場については、一旦事故が起こると広範囲の周辺地域に極めて深刻な影響を及ぼすこと、および高速増殖炉の開発計画が頓挫し、唯一のプルトニウムの利用先であるプルサーマル計画用の原子炉は12基の予定に対し4基しか稼働しておらず、他方、現在我が国が保有するプルトニウムは約46トンで、世界的に見てもすでに過剰に保有していると言わざるを得ず、このまま再処理を開始すれば余剰プルトニウムをさらに増加させることとなり、核兵器転用の懸念が強まること、しかも事業全体に14.44兆円もの巨額の費用が投入されることなどから、その建設・操業に反対してきました。 

去る7月8日、当会は第16回の総会を開催し、添付のような決議文を採択しました。貴職は日頃より「県民の声を聞くことが青森新時代の始まり」と発言されています。この決議文に込められた私たちの希望を聞き入れ、今後の政策を進めていただくよう要望いたします。

以上

                             202384

 

日本原燃株式会社 社長 

増田 尚宏 様

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

 代        表  宮 永 崇

                                      

16回総会決議文の送付について

 

私たち「核燃・だまっちゃおられん津軽の会」は、青森県内、とりわけ弘前市を中心に原発と核燃料サイクルをめぐる問題について学び、考え、活動する市民の集まりです。六ヶ所再処理工場の本格稼働の中止、原子力政策の見直し、再生可能エネルギーへの転換を求めて、20082月に設立されました。

 私たちは再処理工場については、一旦事故が起こると広範囲の周辺地域に極めて深刻な影響を及ぼすこと、および高速増殖炉の開発計画が頓挫し、唯一のプルトニウムの利用先であるプルサーマル計画用の原子炉は12基の予定に対し4基しか稼働しておらず、他方、現在我が国が保有するプルトニウムは約46トンで、世界的に見てもすでに過剰に保有していると言わざるを得ず、このまま再処理を開始すれば余剰プルトニウムをさらに増加させることとなり、核兵器転用の懸念が強まること、しかも事業全体に14.44兆円もの巨額の費用が投入されることなどから、その建設・操業に反対してきました。 

去る78日、当会は第16回の総会を開催し添付の決議文を採択しました。貴職におかれましてはこの決議文に込められた私たちの希望を聞き入れ、今後の会社運営を進めていただくよう要望いたします。

以上

第16回総会決議文

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

16回総会決議

202378

 

長引くロシアによるウクライナ侵攻は、世界的なエネルギー不足の問題を生みだし、多くの国で原子力発電に回帰する傾向が現れましたが、ドイツは20235月に最後の原発を停止し、完全に脱原発を成し遂げました。しかし日本においてはGX(グリーントラスフォーメーション)脱炭素電源法案」が自由民主党・公明党・日本維新の会・国民民主党他の賛成により可決され、原子力基本法・電気事業法・原子炉等規制法・再処理法・再生可能エネルギー特別措置法が改悪されました。これにより、原発の運転期間を「原則40年・最長60年」とするルールが事実上撤廃されるなど、原発推進のための政策が実施されることになります。また、この夏には福島第1原発にたまっている処理水の海洋放出が、漁業者との約束を無視して始まろうとしています。

一方青森県では、度重なるトラブルにより延期を重ねてきた六ヶ所村の再処理工場は26回目の延期を発表しました。再処理工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から、残っているウランと新たに生まれたプルトニウムを取り出す施設です。再処理工場から排出される放射性物質は原発と比べて桁違いに多く、再処理過程における流出の危険も非常に高いといわれています。また、プルトニウムは核兵器の原料となることから、世界各国が日本の核保有を懸念しており、内閣府原子力委員会は「利用目的のないプルトニウムは持たない」、「プルトニウム保有量を減少させる」との考え方を堅持していますが、再処理工場の操業開始はそれらのこととまったく整合性がとれません。

さらに、六ヶ所村にはすでに海外の再処理工場から運び込まれた多量の高レベル放射性廃棄物が貯蔵されています。青森県は国との間で、青森県を核のゴミの最終処分地とせず、いずれ必ず県外に持ち出すとする約束を結んでいますが、その約束が予定された期間内に果たされるのは不可能な状況になってきました。このままではなし崩し的に青森県が高レベル放射性廃棄物の最終処分地になってしまうのではないかと、県民の不安が高まっています。このような状況の中、私たちは六ヶ所村の再処理工場の建設・操業に強く反対するとともに、青森県を放射性廃棄物の最終処分地にしないために運動を進めていきます。

本日、第16回目の総会を迎えました。決意を新たにし、原発、核燃に依存する青森県の核燃マネーからの決別とエネルギー政策の転換を引き続き粘り強く求めていきます。

以上

2023さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会アピール

2011311日の東京電力福島第一原発事故の発生から12年が過ぎようとしています。

12年前の東北地方太平洋沖地震による凄まじい大津波と、その後の福島第一原発事故の発生による大混乱を昨日のように思い出します。原発事故としては世界最大規模でした。今日でも多くの避難者が故郷に戻れない状態が続き、廃炉の作業は行程の延期を繰り返し、混迷を極めています。事故の処理や地域の復興にはまだまだ多くの年月を要するでしょう。

しかし、あれから12年、私たち日本人は本当に福島第一原発事故の教訓を胸に刻み、社会を変えようとしてきたでしょうか。昨年来のウクライナ危機の影響もあって、世界のエネルギー事情は悪化の一途をたどっていますが、これ見よがしに、政府は原発回帰・原発推進の姿勢をますます明らかにしています。実質60年超の原発の運転を可能にする法案を提出し、新型炉の開発に向けた研究を始める方針を掲げるなどしています。漁業者を始め、多くの福島の人々が反対してきた汚染水(処理水)の海洋投棄は今年の秋に迫っています。こうした政策が福島の復興の足かせにならないか、日本社会の将来に禍根を残すことにならないか、立ち止まって考えるべきではないでしょうか。

また、私たちの青森県は「原子力」に関しては世界の中でも突出した地域です。六ケ所村の核燃料サイクル施設の他、東通村には計画を含めて4基の原発、大間町には建設中の新型原発があり、むつ市では中間貯蔵施設が操業を控えています。私たち青森県民は潤沢な「原子力マネー」と引き換えにこれらの施設を受け入れてきました。しかし、核燃料サイクルの中核をなす再処理工場は26回の稼働延期を繰り返し、延期期間はとうとう四半世紀を超えました。この間も、核燃料サイクル施設には大量の高レベル放射性廃棄物が運び込まれる一方で、県外に搬出する目処はたっていません。青森県の将来のためにも、再処理工場の稼働を何としても阻止しなければなりません。

本日、弘前の地で6度目の「3.11」の集会を開きました。福島第一原発事故の教訓を胸に、福島の復興を願い、原子力に頼らない社会のあり方を考え、人類社会の脱原発を実現するために、自然が豊かで、歴史の深い城下町・弘前から発信してゆくことは大きな意義のあることです。 

本日、ここに集まった一人一人の小さな力を結集して、大きな力を作り出し、社会を変え、人類を救う力に育ててゆくことを再確認し、本集会のアピールとします。

 

202334日 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会

県知事への要請行動(2022.12.8)

2022.12.8、青森県長にて下記「要請および質問状」に関して、要請行動を行いました。

下記「質問状」に対する、青森県知事からの回答

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核燃・だまっちゃおられん津軽の会に対する回答(2022.11.28 青森県知事)
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三村青森県知事宛「要請及び質問状」

                                                       2022年11月7日

 

青 森 県 知 事 

三 村 申 吾 様

                核燃・だまっちゃおられん津軽の会

                        代  表 宮 永 崇 史          

                                      

再処理事業中止を求める要請及び再処理工場完成時期の延期等についての質問状

 

 去る9月7日、日本原燃株式会社は六ヶ所村の再処理工場の完成時期を延期することを県に報告しました。延期はこれで26回目となります。その際、同社は延期後の新たな完成時期を明示しませんでした。

 私たちは再処理工場について、一旦事故が起こると広範囲の周辺地域に極めて深刻な影響を及ぼすこと、および高速増殖炉の開発計画が頓挫し、唯一のプルトニウムの利用先であるプルサーマル計画用の原子炉は12基の予定に対し4基しか稼働しておらず、他方、現在我が国が保有するプルトニウムは約46トンで、すでに過剰に保有していると言わざるを得ず、このまま再処理を開始すれば余剰プルトニウムをさらに増加させることとなり、核兵器転用の懸念が強まること、しかも事業全体に14.44兆円もの巨額の費用が投入されることなどから、その建設・操業に反対してきました。当初予定で四半世紀前の1997年に完成するはずだった施設がいまだに完成していないことは驚くべきことであり、同社はこれまでも完成時期の延期を発表する度に、今回の延期が最後、全社をあげて取り組むなどと繰り返してきましたが、今日に至っては、もはや同社に再処理工場を設置・運用する能力がないか、あるいは技術的に不可能なのではないかと受け止めざるを得ません。

 そこで下記1を要請するとともに2~4について書面で回答を求めます。

 なお、回答は2022年11月30日までにお願い致します。

 

 

1.再処理事業中止を国及び事業者に求めてください。

2.この度の26回目の再処理工場完成延期についてどのように考えますか。お考えをお示しください。

3.計画通りのプルトニウムの利用が望めない現状で再処理工場が稼働した場合、余剰のプルトニウムを生産することになり、それは原子爆弾の原料ともなりますが、そのことについてどう考えますか、そのお考えをお示しください。

4.昨今の国際状況を鑑み、日本が軍事力による侵略を受けた際には放射性物質を多量に保持する青森県が攻撃の対象になる可能性が極めて高いと考えられますが、そのことについてどのように考えますか、そのお考えをお示しください。

                                                                        以上

 

第15回総会決議文

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

15回総会決議

2022626

 

2022224日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、それ以降の世界的なエネルギー不足の問題を生みだし、多くの国で原子力発電に回帰する傾向が現れています。日本においても岸田首相は方針の中に「原発を最大限活用する」という言葉を盛り込みました。今、反原発・反核燃運動は大きな正念場を迎えていると言えます。

一方青森県では、度重なるトラブルによる延期を重ねてきた六ヶ所村の再処理工場は、いよいよ2022年上半期に完成することとなっています。再処理工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から、残っているウランと新たに生まれたプルトニウムを取り出す施設です。再処理工場から排出される放射性物質は原発と比べて桁違いに多く、再処理過程における流出の危険も非常に高いといわれています。また、プルトニウムは核兵器の原料となることから、世界各国が日本の核保有を懸念しており、内閣府原子力委員会は「利用目的のないプルトニウムは持たない」、「プルトニウム保有量を減少させる」との考え方を堅持していますが、再処理工場の操業開始はそれらのこととまったく整合性がとれません。

さらに、六ヶ所村にはすでに海外の再処理工場から運び込まれた多量の高レベル放射性廃棄物が一時貯蔵されています。青森県は国との間で、青森県を核のゴミの最終処分地とせず、いずれ必ず県外に持ち出すとする約束を結んでいますが、その約束が予定された期間内に果たされるのは不可能な状況になってきました。このままではなし崩し的に青森県が高レベル放射性廃棄物の最終処分地になってしまうのではないかという、県民の不安が高まってきています。このような状況の中、青森県を最終処分地にしない条例を制定する運動に参画するとともに、最終処分のあり方についても議論を重ねています。私たちは六ヶ所村の再処理工場の建設・操業に強く反対するとともに、青森県を放射性廃棄物の最終処分地にしないために運動を進めていきます。

本日、再生可能エネルギー開発の現状について学びました。再生可能エネルギー事業に関わる課題を明らかにし、原発、核燃に依存する青森県の核燃マネーからの決別とエネルギー政策の転換を促していきます。

以上

 

2022さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会アピール

2011311日の東京電力福島第一原発事故の発生から11年が経ちました。

11年前の東北地方太平洋沖地震による凄まじい大津波と、その後の福島第一原発事故の発生による大混乱を昨日のように思い出します。原発事故としては世界最大規模でした。今日でも、いまだに多くの避難者が故郷に戻れない状態が続き、廃炉の作業や汚染水(処理水)の処理についても混迷を極めています。事故の処理にも地域の復興にもまだまだ多くの年月を要するでしょう。

しかし、あれから11年、私たち日本人は本当に福島第一原発事故の教訓を胸に刻み、社会を変えようとしてきたでしょうか。徐々に福島の記憶が風化しているのではないかと気になります。最近の世論調査では、原発の再稼働に反対する人の割合は徐々に低下し、50%を切っています。政府が推し進めようとしている福島の汚染水(処理水)の海洋投棄についても賛否が拮抗しています。

世界に目を向けてみると、ヨーロッパではフランスを中心に、脱炭素社会の実現に向けてという名目で、再び原子力発電を推進する方針を打ち出しています。こうした中で、福島で大きな原発事故を経験した日本が率先して脱原発の世界的リーダーとなるべきであると考えます。しかし、昨年発足した岸田政権は原発・核燃サイクルの維持を方針に掲げ、その発足当初から原子力ムラの暗躍が見え隠れします。

本日、弘前の地で6度目の「3.11」の集会を開きました。青森県は「原子力・核燃料」に関しては世界の中でも突出した地域です。東通村の原発に始まり、六ケ所村の核燃料サイクル施設、むつ市の中間貯蔵施設、大間町の新型原発といった原子力施設が集中しています。私たち青森県民は潤沢な「原子力マネー」と引き換えにこれらの施設を受け入れてきました。その結果、青森県は原子力施設なしには成り立たない状況に陥ってしまいました。核燃料サイクル施設の中核をなす再処理工場は本年9月完成予定となっており、予断を許さない状況です。また、六ヶ所村の核燃料サイクル施設には、大量の高レベル放射性廃棄物が運び込まれています。青森県はこのまま放射性廃棄物の最終処分地になってしまうのではないかという危惧は現実味を増してきています。

福島第一原発事故の教訓を胸に、福島県の復興を願い、原子力に頼らない社会のあり方を考え、人類社会の脱原発を実現するために、自然が豊かで、歴史の深い城下町・弘前から発信してゆくことは大きな意義のあることです。 

本日、ここに集まった一人一人の小さな力を結集して、大きな力を作り出し、社会を変え、人類を救う力に育ててゆくことを再確認し、本集会のアピールとします。

 

202236日 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会

さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会へのメッセージ

さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会へのメッセージ

 

         原発問題住民運動全国連絡センター代表委員  伊東達也

 

集会にご参加の皆さんに福島現地からのメッセージをお届けします。

福島県民を死の恐怖に巻き込んだ福島第一原発事故は、事故の発生から11年経っても決して忘れ去ることはできません。被害は続き、収束の見通しも立っていません。

福島県内59市町村のうち強制避難指示が出されたのは12市町村の145000人近くに及びました。11年経っても57%に当たる約83千人近くの人が、故郷に戻っていません。政府は「避難者数」を35千人台としていますが、避難先で自ら自宅を確保した人や復興住宅に入居している人は避難者と数えないものです。

震災関連死は2331人、自殺者は119人に上っています。農業産出額は事故前の90%、同じく林業は83%、沿岸漁業は16%です。復興は未だ遠しです。

福島第一原発事故の処理費用は国が21.5兆円としていますが、社会経済センターは汚染水の処理まで入れれば80兆円としています。今後とも増え続けるでしょう。

廃炉作業はデブリの取り出しに見通しが立たず、使用済み核燃料の取り出しは計画より遅れに遅れています。例えデブリを取り出しても、また、使用済み核燃料を取り出しても、その処理・処分をどうするかは、廃炉作業のロードマップには何も具体的に書かれていません。敷地内に置かれる可能性は否定できない状況です。

11年経ったいま、アルプス処理水の海洋投棄反対の県民運動が高まっていますが、国も東電もかたくなに強行しようとしています。私たちは、地下水問題の専門家が提案している広域遮水壁を作れば汚染水の流失を止められるという代替案を提示して闘っています。

取り返しのつかない被害を被ってからですが、福島県民は一大運動を起して福島原発全10基の廃炉を勝ち取り、原発ゼロを実現しました。

青森ではこの教訓を活かし、事故が発生する前に、原発・核燃施設の廃止を勝ち取ってください。

福島から熱烈な連帯のエールを送ります。「みんなで行動すれば、何かはなせる」が福島の教訓でもあります。ともに頑張りましょう。(2022年3月6日)

第14回総会決議文

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

14回総会決議

2021628

 

六ヶ所村の再処理工場は度重なるトラブルによる延期を重ねてきましたが、いよいよ2022年上期に完成することとなっています。再処理工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から、残っているウランと新たに生まれたプルトニウムを取り出す施設です。再処理工場から排出される放射性物質は原発と比べて桁違いに多く、再処理過程における流出の危険も非常に高いといわれています。また、プルトニウムは核兵器の原料となることから、世界各国が日本の核保有を懸念しており、内閣府原子力委員会は「利用目的のないプルトニウムは持たない」、「プルトニウム保有量を減少させる」との基本的な考え方を堅持しています。しかし、再処理工場の操業開始はそれらのこととまったく整合性がとれません。

さらに、六ヶ所村にはすでに海外の再処理工場から運び込まれた多量の高レベル放射性廃棄物が一時貯蔵されています。青森県は国との間で、青森県を核のゴミの最終処分地とせず、いずれ必ず県外に持ち出すとする約束を結んでいますが、その約束が果たされそうにない状況になってきました。このままではなし崩し的に青森県が高レベル放射性廃棄物の最終処分地になってしまうのではないかという、県民の不安が現実味を帯びてきています。私たちは、青森県を最終処分地にしない条例を制定する運動に参画するとともに、最終処分のあり方についても議論を重ねています。

他方、青森県を中心とした北海道・北東北地域の縄文遺跡群が世界遺産に登録される見込みとなりました。かつてこの地に住んでいた縄文の人々は、青森県が全国でも有数の危険な核施設をもつことになると予想することはなかったでしょう。核を管理することは、縄文から現代に至る年月以上の時間がこれから必要であるということを意味します。そのことは永く未来に渡ってこの地に負の遺産を残すことになるでしょう。

以上より、私たちは六ヶ所村の再処理工場の建設・操業に強く反対するとともに、青森県を放射性廃棄物の最終処分地にしないために運動を進めていきます。

以上

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第14回総会決議文
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2021 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会アピール

 2011311日の東京電力福島第一原発事故の発生から10年が経ちました。

東北地方太平洋沖地震による凄まじい大津波と、その後の福島第一原発事故の発生による大混乱を昨日のように思い出します。原発事故としては世界最大規模でした。周辺地域の約16万人が避難を強いられ、いまだに故郷に戻れない人も多く存在します。事故の処理にも地域の復興にもまだまだ多くの年月を要するでしょう。

しかし、あれから10年、私たち日本人は本当に福島第一原発事故の教訓を胸に刻み、社会を変えようとしてきたでしょうか。世界各国が脱原発の動きを加速させる中、私たちは莫大な費用をかけて、経済的にも成り立たない原発の再稼動を進め、核燃料サイクル施設の建設を推し進めてきたのではないでしょうか。

最近の調査では、福島県民の57%が事故の教訓が活かされていない、72%が被災地域の活性化が期待できないと答えています(朝日新聞2021/2/24)。福島県内では、地震や津波による被害もさることながら、震災関連死などに見られるように、その後の避難生活の中で大きな被害が生じています。にもかかわらず、モニタリングポストの撤去が画策され、汚染水の海洋放出の準備が進められるなど、被災者をさらに苦しめる動きが続いています。また、福島県内では、復興の方針、避難生活、賠償金などをめぐって対立や混乱が生じ、家族、友人、職場といった人間関係や地域社会が引き裂かれる事例が見られます。これらが被災者の「分断」を生み出し、その苦しみを深刻化させています。福島第一原発事故は終わっていないのです。

本日、弘前の地で5度目の「3.11」集会を開催しました。青森県は「原子力」に関しては世界的にも突出した地域です。東通村の原発に始まり、六ケ所村の核燃料サイクル施設、むつ市の中間貯蔵施設、大間町に建設中の新型原発といった原子力施設が集中しています。私たち青森県民は潤沢な「原子力マネー」と引き換えにこれらの施設を受け入れてきました。その結果、青森県は「原子力」なしには成り立たない地域になってしまいました。また、六ヶ所村の核燃料サイクル施設には、大量の高レベル放射性廃棄物が運び込まれています。青森県はこのまま放射性廃棄物の最終処分地になってしまうのではないかという危惧は現実味を増してきています。

福島第一原発事故の教訓を胸に、福島県の復興を願い、原子力に頼らない社会のあり方を考え、人類社会の脱原発を実現するために、自然が豊かで、歴史が深い城下町・弘前から発信してゆくことは大きな意義のあることです。 

本日、ここに集まった一人一人の小さな力を結集して、大きな力を作り出し、社会を変え、人類を救う力に育ててゆくことを再確認し、本集会のアピールとします。

 

2021314日 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会

2021 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会リレートーク集

リレートーク1

 

  まず、原発いらないと言いたいと思います。 3.11から10年が経ちましたが東電の福島第 1原発は今、どういう状況でしょうか。地震発生後の4月13日、当時の菅首相は原子力関係もすべて順調です」と説明しましたが、あとから原子炉を覆う格納容器内で冷却水の水位が下がつていることが発表されました。続いて22日 には、昨年夏から3号機の地震計が故障していたのに放置していたことが明らかになりました。東電のずさんな管理体制があらわになったのでした。これに先立って 4月23日 には 2号機 3号機の原子炉格納容器の上に敷かれた何枚もの板の間に約 2~ 4京ベクレルの高レベル放射性セシウムが大量にあることがわかったばかりです。原子炉の下には、近くに1時間もいたら死んでしまうほどの高レベルの放射性「デブリ」が大量に溶けて固まっていることがわかっています。それを、遠隔操作で取り出そうと、装置を改良して延々と作業をつづけてきました。そのうえ、今回の格納容器上部での新たな大量の放射性物質です。廃炉作業は大変困難です。廃炉になるのはいつのことか、長期になることが予想されます。

  一方、青森県では六ヶ所村の施設が問題です。日本原燃の六ヶ所再処理工場に対して原子力規制委員会が「合格」しているという審査書を出しました。再処理工場は、原発以上に未熟で危険な技術と指摘 されています。海外では繰り返し事故がおきています。さらに、再処理工場は操業するだけでふつうの原発と比べても桁違いに多い放射性物質を環境に放出することになります。原発の運転中に発生 したさまざまな種類の放射性物質が閉じ込められていた死の灰を使つて再処理するわけですから、その死の灰 を切断するだけでえイ本の放射性物質が放出されます。トリチウムの放出量は年 22兆ベクレルになります。福島第 1原発の基準としていたものからすると約 440倍にもなります。さらに、六ヶ所再処理工場は、1993年 に着工以来、竣工予定を24回 も延期 しています。設計ミスや配管の不良などトラブルが繰 り返 されています。 この工場の耐震性ですが、基準値振動は当初375ガルでしたが、2014年の申請時には700ガルに引き上げられました。 しかし、六ヶ所再処理工場の場合、2006年に実際の使用済み核燃料を使ってアクテイブ試験を実施しており、耐震補強などの作業をしようにも汚染された配管などに人が近づくことが出来なくなっています。大きな地震がきたらどうなりますか。大爆発になりませんか。だから、原発はいらない、再処理施設はいらないと言いたいのです。今、青森県には他県の原発で出来た放射性廃棄物が集ってきています。青森県知事と政府は口頭では最終処分地にしないと約束しているといいますが、文書ではないのでどうなるかわからないのです。ここで、県民が声を上げることが大事だと思います。青森県を高 レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないための条例を作 りましょう。2022年 9月 の県議会に出すことを目標にして、約 2年間の取り組みです。署名にご協力をお願い致します。

(新日本婦人の会 平山母志子)

 

リレートーク2

 

東日本大震災から10年がたち、震災の記憶が少しずつ、薄れてきているのではないでしょうか?しかし、まだまだ復興とは程遠い現実があることを私たちは忘れてはいけません。

本日は、ファルマレンジャーとともにファルマのこの10年の取り組みと私の震災体験についてお話させていただきたいと思います。

私は当時、岩手県の沿岸部にある大船渡市というところに住んでいました。津波は一瞬で町全体を飲み込み、多くの方が亡くなり、街は壊滅的な被害を受けました。津波を想定し作られた堤防は簡単に破壊され、人間の作るもの脆弱さを感じました。

縁があり、私は弘前に移り住み6年になります。ファルマに入社し、平和活動、社保活動など様々な活動を通じ、今日本が抱えている問題がたくさんあることがわかりました。

その大きな一つに原発・核燃の問題があると思います。日本は福島の原発の事故から学ぶことなく、原発の再稼働や核燃料サイクル施設の建設を推し進めています。このままでいいのでしょうか?私たちファルマは、一人でも多くの方にこの事実を知ってもらい、大きな力となるようこれからも活動していきます。

(株式会社ファルマ 工藤由希子)

第13回総会決議文

核燃・だまっちゃおられん津軽の会

第13回総会決議

2020年7月9日

 

原子力規制委員会が日本原燃の六ヶ所再処理工場(青森県)に対して、新規制基準に合格しているとする審査書案を5月13日に出しました。再処理工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から、残っているウランと新たに生まれたプルトニウムを取り出す施設です。今後、新規制基準に合格したとして再処理工場を再稼働させることは、2018年に内閣府原子力委員会が「利用目的のないプルトニウムは持たない」という原則を堅持し、「プルトニウム保有量を減少させる」との「基本的な考え方」を委員会決定として明示したこととは整合性がとれない蓋然性が高いといわざるを得ません。したがって、六ヶ所での再処理は不可能となるはずです。しかも、プルトニウムは原子爆弾の材料になります。

再処理工場では、有機溶媒や放射線分解で水素などが発生する上、いたるところに可燃物があり事故の危険性が高まります。この工場周辺には米軍と航空自衛隊が利用する三沢基地があります。この数年の間にも、燃料タンク投棄と落下、ステルス戦闘機F35A墜落などの事故が頻発しています。

また、着工当初の耐震基準は375ガルだったものが、現在ではそれが700ガルに引き上げられました。再処理工場は着工から四半世紀経過しているため、施設の老朽化が懸念されます。しかも、2006年にアクティブ試験を実施しているために、汚染された配管などに人が近づくことができず、これ以上の耐震補強の作業ができなくなっているのが現状です。結果的に再処理工場は耐震基準を満たすことができていません。

再処理工場の放射性廃棄物は原発と比べると桁違いに多く、汚染物質排出についての基準を設けることができないほどです。新基準に合格とは何をもって合格なのか全く疑問です。私たちは原発再稼働に反対するとともに、再処理工場の運転に強く反対します。

以上

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第13回総会決議文
第13回総会決議文200709.pdf
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2019 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会 アピール文

さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会アピール

 

今年も、3月11日を迎えました。

8年前のあの凄まじい大津波と、その後に起こった福島第一原発事故を昨日のように思い出します。原発事故としては世界最大の事故でした。福島にはまだ故郷に戻れない人が少なからず存在し、その地域の復旧にはまだまだ多くの年月を要します。

しかし、あれから日本は本当に「原子力」の恐ろしさを心に刻み、社会を変えようとしてきたでしょうか。経済的にも成り立たなくなっている原発を国内で再稼動させ、海外にも無理やり輸出しようとしてきたのではないでしょうか。

人類の歴史の中で、先の20世紀は様々な科学的発展があった一方、「核兵器と原発」を生み出した時代でした。「核」は世界を破滅できる力を持つ兵器でありながら、我々は未だにそれを破棄できないでいます。核開発から原発事故へいたる過程の中で、科学に対する市民からの信頼が失われてしまいました。しかし今一度、科学と市民の間に、「科学を理解し、科学を監視し、そして科学を批判する」そう言う関係を再構築しなければなりません。

日本人が初めて経験する広域の放射能事故から8年が経ち、被災地域には様々なそして新たな「分断現象」が現れています。家族、友人、職場といった人間関係の分断、避難解除、賠償金をめぐる地域の分断など、同じ事故の被害者がこのように引き裂かれてしまうことも、目に見えない放射能事故の大きな特徴です。

我々はこれらの新たな「分断」にどう対処できるかを考え、いつ自身に降りかかるかもしれない「被災者に寄り添う」とはどういうことかを冷静に考えなければなりません。

本日、弘前の地で4度目の「3.11」脱原発・反核燃の集会を開きました。青森県は「原子力・核燃料」に関しては世界の中でも突出した地域です。東通原発に始まり、六ケ所の核燃料サイクル施設、むつの中間貯蔵施設、大間に建設中のフルモックス原発といった、核開発の負の遺産がこの小さな県に集中しています。こうした施設を受け入れてきた結果、今では、青森県経済は原子力マネーに頼らざるをえない状況に陥っています。青森県内の人々の間にも「分断」が生じています。

原子力マネーに頼らなくても良い地域の発展を、そして県民の人心に生じた分断をどう取り除くか、歴史の深い城下町である弘前から発信してゆくことは大きな意義のあることです。 

本日ここに集まった一人一人の力は小さいけれど、それを集結して大きな力を作り出し、社会を、そして人類を救う力に育ててゆくことを再確認し、本集会のアピールにします。

 

2019年3月16日 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会

2019 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会 リレートーク集

◆リレートーク1

今日は37日付の新婦人しんぶんに取り上げられたことを紹介したいと思います。 

8年前の3.11東日本大震災福島第一原発事故から8年です。「8年目にしてやっと新校舎ができました」と宮城県名取市にある宮城県農業高校から落成式への招待状とお礼の手紙が新婦人に届きました。新婦人が全国から寄せられた東日本大震災救援基金を届けた高校の一つです。新婦人名取市部の支部長、高橋恵美子さんが案内してくれたそうです。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地区です。校舎や農場の全てが流され、内陸部に移転した宮城県農業高校の新校舎、133年の歴史があり、農業・園芸・食品化学など5学科に約700人が学ぶ同校は宮農と呼ばれ地域の人に愛されています。塩害で作物を作れらくなった農地にそばを育てる「SUN SUNそば」プロジェクト、被災から復活したメロンを使ったスイーツなど、復興に取り組んで笑顔と元気を広げて行きます。最近大きく話題になったのが「ご当地!絶品うまいもん甲子園」(農林水産省主催)で優勝し「北限しらす」の名を全国に広げたことです。もともと宮城ではしらす漁はされていませんでしたが、2017年に「北限」として解禁されたのをきっかけに市ぐるみの取り組みがスタートしました。17年はわずか2kgだった水揚げが翌年40トンに増えました。これをさらにアピールできないかと、市が福島県浪江町から宮城に移り住んできた加工業者と同校の農業経営者クラブを引き合わせました。みんなで話し合い20個のアイデア料理を試作。同校で収穫したブランド米「だて正夢」に甘辛く炒めたしらす、梅干し、アボガド、チーズなどの具材を使った「おにぎらず」と「しらす」を合わせた「おにしらす」を考えました。パリッと焼いた春巻きの皮で包むアイデアは高校生ならでは。担当になった祭城武さん(18)は「美味しさとインスタ映えが秘訣」と胸を張ります。しらす加工業者「鈴栄」の鈴木典子さんは「宮城に来た時は正直、もう魚屋はやらなくていいと思っていました。でも高校生とお会いした時、ああしたい、こうしたいと一生懸命話してくれてすごく勇気付けられました。」と話します。クラブのリーダー西大條利成(18)さんは「新しい土地で借金までして何とか頑張りたいと鈴栄さんから率直な思いを聞きました。その言葉が僕らも何か役に立ちたいという原動力になった」と話します。試作品は閖上の祭りで住民に食べてもらい、「見た目はごちゃごちゃだけど美味しいよ」と感想や意見を聞けたことが大きな力になったと言います。業者と漁師、高校生がコラボで生み出した商品です。みんなが地域への思いを語る姿に復興への希望が見えてきます。

(新婦人の会)

◆リレートーク2

 青森県医労連では2014年、2017年と福島へ視察に行っています。私は2017年に参加しているので、その時の感想をもとに報告させていただきます。 

 当時で福島の原発事故から6年、だんだんと原発事故に関する報道が少なくなったと感じていました。8年たった現在でも東日本大震災からの復興といい毎年3月11日が近づくと特集が組まれていますが、その震災によって福島で重大な事故が起こったということが徐々に薄れているのではないかと感じていました。もしかして、復興は順調に進んでいるのか?と。しかし、2016年11月福島県民集会に参加した際に、原発問題は全く終わっていないということ、福島県民の強い思いを目の当たりにしたことで、この問題を実際に自分の目でみる必要があると思い福島への視察に参加しました。

 浜通り医療生協の理事長であり全国の原発問題の代表者である伊藤達也先生から、原発事故から6年、テレビでは報道されない悲しい事件、県民の苦しみ、悩みについてお話を聞くことができました。

 いわき市役所など公的施設への「被災者帰れ」という落書き、仮設住宅内での自家用車破損、ロケット花火の打ち込み事件、これは1件や2件の話ではなかったそうです。新築住宅の塀に「原発賠償御殿!仲良くしない。やりすぎ」と書かれた落書き事件の発生。お互いに原発の被害者であるのに、被害者同士での対立が生まれ県民が分断されていることがとても悲しいことだと感じました。そしておかしいではないかと。避難するかしないか、地元産の食物を食べるか食べないか、距離・放射線量で一方的に決められた賠償金の額、強制避難者と自主避難者…みんなで力を合わせて困難を乗り越えていく必要があるのにこの分断によって悲しい事件が起きているのです。火や水ではない、放射能という目に見えない不安による怒りや不満の矛先が同じ被害者に向けられているのです。

 政府・東電は賠償金の打ち切りで住民の帰還を急がせました。しかし帰れない人が圧倒的に多いと聞きました。ふるさとに帰るとはなんだろうかと考えさせられました。元の生業を再開できる見通しはなく、生まれ育った故郷の面影はありません。一面にフレコンバックが積み重なり、もとはきれいな水平線が見えていただろう海岸は新しく作られた防波堤によって水平線は見えません。人が住んでいない家、時がたち朽ち果てた生家、農作物が作られず荒れた田畑、本当の帰還とはもとの生活に戻ることができることが前提ではないのでしょうか。実際にまちを視察して回った率直な感想は「ここは本当に日本なのか」と自分の今住んでいる環境との違いに驚きました。富岡町の夜の森のさくら通りを訪れると、桜が満開で素晴らしい景観でした。しかし通りのすぐそばは帰還困難区域のためロープや柵で立ち入り禁止となっていました。満開の桜並木と、当時のまま残された車やもはや廃墟となった家や商店がすぐ隣に存在しているという状態に違和感を覚えました。 

 この視察に参加して改めて考えたことは、“もし六ケ所の再処理工場で事故が起こったら?”“大間の原発で事故が起こったら?”“国は私たちを守ってくれるのか?”ということです。原子力エネルギーを推進しておきながら責任逃れしているという事実、福島の原発事故で国は守ってくれないということが私の中では明らかになりました。この事実をなかったことにしてはいけない。そして、福島で起こった原発事故による深刻な被害・問題をなかったことにしてはいけないと強く思いました。

 私が生まれ育った青森県、緑豊かで水も米もおいしい青森県を守るためにこれからも私にできることを頑張っていこうと思います。

 (健生病院労働組合

◆リレートーク3

弘大職組からは、組合員有志が大学2年生を対象に行っている「原発・核燃と地域社会」というタイトルの講義について報告します。

8年前の311日午後246分頃、私は11階の研究室にいました。11階で感じる地震の揺れは、大きくゆっくり揺れている感じだったように記憶しています。なにか大変なことが起こった予感はあるのですが、すぐに停電して情報は何も入ってこなくなりました。次の日は大学の後期日程の入学試験の予定でしたが、地震のため中止。遠方から受験に来た受験生が帰宅できず、大学はその対応に追われていました。そうした中で停電は復旧して、テレビに映ったのが原発の爆発の映像です。アナウンサーが「爆発したのでしょうか?」と問うと、隣の席の専門家らしき人が言葉を濁し、最後まで「爆発」とは言わなかったことが印象に残っています。この年は、入学式を1カ月遅らせるなど異例ずくめでした。

弘大ブランチのメンバーでも何かやらねばならないと、4月に理工学部で特別講座「福島原発で何が起こっているか」を開催しました。100人入る講義室は参加者で埋まりました。この中で、印象に残ったやり取りを紹介します。

講師の一人が「フクイチ近郊には人は住めない、すぐ避難するべきだ」と語ると、南相馬市出身の学生が質問にたち「自身の両親も弟もまだ南相馬におり、家族も帰ってくるなという。自分も東京に出たいと考えていた。しかし故郷がこうなった今、自分は故郷に帰らないという選択をして良いだろうか?」と発言しました。これを受けて弘大ブランチのメンバーのある教員が、次のように発言しました。「あなたが帰るべきか、帰るべきでないのか、それは誰にもわからない。誰にも分らないことであるからこそ、教員も学生も共に考えていきましょう。」

核燃の講義は、当初は原燃の寄付講座の講義に対抗しようとことで2010年度から始めたものでしたが、学生とのこうしたやり取りがあって、大いに熱が入りました。

核燃問題の講義は、教員の専門を生かして、物理学、医学、法学、経済学など様々な切り口から迫っています。下北半島へのバスツアーも取り入れています。

毎年この講義には、30人程度の学生が受講しており、のべ250人ほどの学生が受講したことになります。核燃の講座を学んだ学生を250人社会に送り出しました。学んだことを社会でどう生かしてくれるでしょうか?各地で一人,二人と芽を出してくれることを願っています。

(弘前大学職員組合)

◆リレートーク4

 私からは、ファルマでの活動と自分のことを少しお話しさせていただきます。

 まず、私の話ですが、私は岩手県の花巻市出身で震災時は沿岸にある大船渡市に住んでいました。海の近くで働いていましたので、津波が発生した時は6階建のビルの屋上に避難をしました。電気と水道の復旧には20日らいかかり、発電機等は使用していましたが、燃料はガソリンのため限りがありました。そのような中で私は福島の原発事故を知りました。当時は原発についての知識が全くなく、メルトダウン・・・?という感じでした。風評被害もありました。日本全国の方から東北支援のために農作物や海産物を買いたいというお声をいただきましたが、「放射能の影響が気になるので、線量を測ってもらえませんか?」という声も少なからずありました。もちろん全国からあたたかいお言葉をたくさんいただきましたし、私の津波の体験の話も涙を流しながら聴いてくれる方も多くいました。

 原発事故から8年がたち、人々の記憶から事故のことが消えていきます。しかし、福島の方々は今も目に見えない危険と、終わりの見えない毎日に怯え、悲しみ・苦しみ・怒りと毎日たたかっています。原発事故は日本でおきました。どうして他人ごとにできるのでしょうか。このことを決して忘れず、私たちはたたかっていかなければなりません。

 いろいろなご縁があり、私は今、青森県に住んでいます。青森県には全国に誇れる食べ物がたくさんあります。これは私が青森県に引っ越しをしてきた一番の理由です。しかし、青森県には原発と原発よりも危険な核燃の施設があります。事故が起きればどうなるかは簡単に想像がつきます。

 知り得たことを一人でも多くの人に伝えることが、知った者の責任だと私は思います。

ファルマでは職員みんなでグッズを作り、どうすれば楽しくみんなに伝えることができるか考え取り組んでいます。今までにいろいろなグッズを作りもうネタがないのではとの心配をよそに担当者は来年に向けて考え始めています。このように楽しく活動していくことが一番なのではないかと思いますので、これからも、株式会社ファルマは、たたかいはきびしく、アピールは楽しく頑張っていきます!!ありがとうございました。

 (株式会社ファルマ 

青森県知事宛に要請書を提出!!

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高レベル廃棄物及びL1廃棄物に係る要請書(2018.10.22)
2018.10.22「高レベル廃棄物及びL1廃棄物に係る要請書」決定版.pd
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要請書提出時の県職員とのやりとりの報告です
2018.10.22「高レベル廃棄物及びL1廃棄物に係る要請」報告.pdf
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2018 さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会 アピール文

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2018年さようなら原発・核燃「3.11」弘前集会アピール文(2018.3.3)
311集会アピール2018.pdf
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